「相続した実家が再建築不可でした」 - 売却できる可能性と確認すべきポイントは?

親から相続した実家について、不動産会社や知人から「再建築不可かもしれない」「ローンが通る物件でなければ買い手が限られる」「このままだと売りにくい」と言われ、不安を感じている方は少なくありません。
再建築不可物件とは、現在建物が建っていても、原則として建て替えができない不動産(土地)を指します。特に古い住宅地や私道が絡む土地、周囲に住宅が密集している土地では、相続後に初めて問題が分かることもあります。
ただし、再建築不可だからといって、必ず売却できないわけではありません。現況利用を前提に買う投資家、隣地所有者、道路条件を整理したうえで検討する買主など、状況によって売却の可能性は残ります。
この記事では、相続した実家が再建築不可と言われた場合に、まず確認したいポイントと、売却を進めるうえで注意すべき考え方を整理します。
再建築不可とは?
再建築不可とは、現在の建物を使用することはできても、解体後に同じ場所で新たな建物を建てられない、または建築確認を取得することが難しい状態をいいます。
代表的な原因の一つは、敷地が建築基準法上の道路に適切に接していないことです。建築物を建てる敷地は、原則として建築基準法上の道路に一定以上接している必要があります。
ここで注意したいのは、見た目には道や通路に見えても(例え行政の所有物だとしても)、それが建築基準法上の道路として扱われるとは限らない点です。昔から使われている私道や通路であっても、法的な道路種別や接道状況を確認する必要があります。
そのため、相続した実家が「再建築不可かもしれない」と言われた場合は、まず前面道路の種別、接道幅、私道の権利関係などを整理することが重要です。
相続不動産で多い再建築不可・難物件のパターン
01
建築基準法上の道路に接していない
敷地の前に通路や私道のようなものがあっても、それが建築基準法上の道路に該当しない場合、建て替えが難しくなることがあります。
古い住宅地では、昔から人が通っている道であっても、法的な道路種別が整理されていないケースがあります。相続した方が現地を見ただけでは判断しにくく、役所での道路調査や資料確認が必要になります。
02
私道共有・私道持分が絡んでいる
幅員4メートル程度の私道に複数の所有者が持分を持っているケースでは、書類上の権利関係や利用実態によって、売却時の評価が変わることがあります。
たとえば、私道を複数人で共有している場合、建築確認上の見方と、金融機関の担保評価の見方が一致しないことがあります。建築確認ができる場合でも、住宅ローンの審査が通らず、買主が限定される場合があります。
03
袋地(ふくろち)に近い状態・通路幅が不足している
周囲を他人の土地(囲繞地・いにょうち)に囲まれ、公道までの通路が細い土地(袋地・ふくろち)では、生活上の通行はできても、建て替えに必要な接道条件を満たさないことがあります。
民法上の通行権が問題になるケースもありますが、通行できることと、建築基準法上の接道条件を満たすことは別の問題です。通路幅が十分でない場合、売却時には大きな確認ポイントになります。
04
連棟式建物や隣地との距離が近い建物で、単独建て替えが難しい
長屋や連棟式建物の場合、自分の住戸だけを切り離して建て替えることが難しい場合があります。構造上の問題、隣接住戸との関係、敷地の分け方などが絡むため、通常の一戸建てよりも売却先が限られやすくなります。
また、連棟式建物ではなく一戸建てとして適法に建てられている場合でも、周囲の建物との距離が非常に近い土地では注意が必要です。建築基準法上は問題がない建物であっても、解体工事や再建築工事の際に重機・足場・資材搬入のスペースを十分に確保できず、現実的には工事が難しいと判断されることがあります。
このような物件では、「法的に建てられるか」だけでなく、「実際に安全に解体・施工できるか」という視点も重要になります。売却時には、建物の構造、隣地との距離、通路幅、工事車両の進入可否などをあわせて確認する必要があります。
05
擁壁・高低差がある土地
道路や隣地との高低差が大きい土地、古い擁壁がある土地も注意が必要です。建て替え時に安全性の確認や擁壁の改修が必要になる場合があり、買主の予算や金融機関の評価に影響することがあります。
このような土地は、単に「古い家が建っている土地」として見るのではなく、道路、擁壁、隣地、建築確認の可能性をまとめて整理する必要があります。
06
市街化調整区域など、道路以外の法令制限がある
再建築不可というと、接道義務や私道などの道路問題をイメージされる方が多いですが、建て替えの可否は道路条件だけで決まるわけではありません。土地によっては、都市計画法などの法令により、建築そのものや用途変更が制限されている場合があります。
代表的なものが、市街化調整区域にある土地です。市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とされており、建物の新築、改築、用途変更などが制限されることがあります。さいたま市でも、市街化調整区域では開発行為を伴わない建築行為についても規制の対象となり、建築が認められる建築物は限られています。
このため、道路にきちんと接していて、現在の建物が適法に建っているように見える場合でも、必ずしも自由に建て替えられるとは限りません。過去の許可内容や建物の用途、誰が使用する前提で許可されたものかによっては、建て替えや売却後の利用に制限が残る場合があります。
特に、市街化調整区域では、許可の内容に個人の事情が関係しているケースもあり、いわゆる「一代限り」に近い扱いとなることがあります。現在の所有者や利用者には建築・使用が認められていても、相続や売却によって所有者・利用者が変わると、同じように建て替えられるとは限らないため注意が必要です。
このような土地は、道路要件を満たしているかどうかだけで判断すると、売却後に想定外の問題が生じる可能性があります。売却を検討する際は、過去の許可内容、建物用途、再建築時の許可の要否などを確認したうえで、慎重に進める必要があります。
07
市街化区域内でも、後からできた条例や地区計画で建て替えが制限されることがある
市街化区域内にあり、建築当時は適法に建てられた建物であっても、現在も同じ条件で建て替えられるとは限りません。
建物が建った後に、自治体の条例、地区計画・都市計画の見直しなどにより、建築できる建物の面積、高さ、用途、敷地面積、外壁の位置、形態意匠などに新たな制限が設けられることがあります。
この場合、現在建っている建物そのものが直ちに違法になるわけではありません。建築当時の法令に適合して建てられていれば、既存の建物として使用を続けられる場合があります。一方で、建て替えや大規模な増改築を行う際には、原則として現在のルールに合わせる必要があるため、従前と同じ規模・用途・形状の建物を再建築できないことがあります。
特に、地区計画などで最低敷地面積や建物用途、高さ、壁面後退などが定められているエリアでは、道路要件を満たしていても、建て替え計画に制限がかかる場合があります。土地としては市街化区域内にあり、建物も適法に建っているように見えるため、相続人や売主が問題に気づきにくい点に注意が必要です。
このようなケースでは、「道路に接しているか」「市街化区域か」だけでは判断できません。売却前に、現在の都市計画、地区計画、条例による制限、建築確認時の資料などを確認し、買主がどのような建物を建てられるのかを整理しておくことが重要です。
なぜ再建築不可物件は売れにくいのか
再建築不可物件が売れにくい主な理由は、買主にとって利用方法が限られるからです。
特に住宅ローンの問題は重要です。対象となる住宅について技術基準や物件検査が定められており、接道についても原則として一般の道に2メートル以上接することが示されています。
ただし、利用できるローンや審査の見方は、物件の状態、金融機関、買主の属性、建築確認や適合証明の可否などにより異なります。そのため、「再建築不可だからローンは絶対に使えない」と断定するのではなく、個別に確認することが重要です。
難あり物件を安く手放さないために知っておきたい、主な売却パターン
買取業者への売却
建て替えではなく、現況の建物を修繕して賃貸する、倉庫や作業場として利用するなど、収益性を見て購入を検討する投資家や買取業者が買主になることがあります。
再建築不可物件や未接道物件は、一般の買主に比べて検討できる人が限られるため、買取業者への売却が現実的な選択肢になるケースもあります。現金化までのスピードが早い、契約条件を整理しやすいといったメリットがある一方で、買取価格はリスクや再販売時のコストを織り込んで判断されるため、一般的な住宅用地より価格が低くなる可能性があります。
特に注意したいのは、道路条件や建て替えの可能性、隣地との一体利用の可能性などを十分に調べないまま売却を進めてしまうケースです。本来は別の売却方法を検討できた物件でも、「再建築不可だから仕方ない」と早い段階で判断してしまうと、相場よりも低い価格で手放してしまう可能性があります。
そのため、買取業者への売却を検討する場合でも、まずは物件の制限内容、道路や私道の状況、隣地との関係、行政確認が必要なポイントを整理したうえで、複数の選択肢を比較することが重要です。
隣地所有者への売却
隣地の所有者にとっては、土地を広げられる、通路を整理できる、将来的な建て替え計画に役立つなどのメリットがある場合があります。
特に接道や通路の問題がある土地では、隣地と一体で考えることで利用価値が変わることがあります。
隣地とあわせた売却
単独では再建築が難しい土地でも、隣地と一体で売却することで、建て替えの可能性が生まれ高く売却できる場合があります。
もっとも、隣地所有者との合意形成、価格の考え方、測量や分筆の要否など、個人だけで進めるには難しい論点が多くなります。
道路条件を整理したうえでの売却
物件によっては、道路の扱いや通路幅、私道持分割合、43条認定・許可、位置指定道路などの可能性を整理することで、売却条件が変わることがあります。
代表的な原因は、建築基準法上の道路に敷地が適切に接していないことです。建築基準法では、建築物の敷地は原則として道路に2メートル以上接する必要がありますが、役所や隣地との交渉次第では、救済を受けることができる制度があります。
さいたま市でも、建築基準法第43条に関する認定・許可制度について、個別事案ごとに審査する制度が案内されています。
参考:さいたま市「建築基準法の認定・許可等について」
個人だけでは判断しにくいポイント
再建築不可や未接道の不動産は、単に「売れる・売れない」だけで判断できません。
確認すべきポイントは、少なくとも以下のように多岐にわたります。
また、43条認定・許可や住宅ローン審査基準などは、自治体や個別状況により運用・判断が異なります。インターネット上の一般論だけで判断せず、行政や銀行の確認をセットで行うことが大切です。
弊社・ピース株式会社に相談できること

ピース株式会社では、埼玉県を中心に全国の難あり・ワケあり不動産について、お客様に寄り添い最後まで諦めない姿勢でお手伝いしています。
不動産全般の無料査定
道路条件や接道状況の整理を目的とした、役所・住宅ローン担保の無料調査
(一部、遠方地に関しては交通費をご相談する場合があります)
私道共有者・通路権利者・隣地関係者・その他権利者との無料交渉
投資家、隣地、一般買主など多方面にわたる売却先の紹介
再建築不可や未接道の物件は、最初の見立てを誤ると、売却価格や売却期間に大きく影響します。一方で、状況を丁寧に整理することで、高値で売却できる可能性があります。
まとめ
相続した実家が再建築不可と言われても、すぐに「売れない」と決めつける必要はありません。
重要なのは、なぜ再建築不可と見られているのか、加えて満足のいく取引に向けて道路・私道・隣地・建築確認・ローンのどこに問題があるのかを整理することです。
再建築不可、未接道、私道共有、連棟式建物、擁壁、調整区域などの難解な不動産は、物件ごとに取るべきアプローチが大きく変わります。相続した実家や空き家の売却など、難アリ・訳アリ物件にお困りの方は、まずは状況を確認したうえで、売却の可能性を一緒に整理しましょう。
相続した実家・空き家の売却でお困りの方へ
「再建築不可と言われた」「道路に問題があるかもしれない」「古い実家をどう売ればよいか分からない」など、相続不動産のお悩みは物件ごとの確認が大切です。
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