擁壁のある土地は売却できる?高低差のある物件で確認したいポイント
不動産のお困りごと相談室
相続した実家に、古い擁壁。
売却を考えるなら、まず条件の整理から。
擁壁や高低差があることだけで、売却できないと決まるわけではありません。大切なのは、擁壁の状態、誰が所有・管理しているか、将来の建て替えに必要な確認、工事の必要性を分けて整理することです。
見た目だけで安全性や工事費を判断せず、売却に向けた調査と、専門家による技術的な確認を組み合わせましょう。
「相続した実家が道路より高い位置にある」「敷地の端に古い石積みがある」「売る前に擁壁を造り直す必要があると言われた」。このような土地では、何から確認すればよいか迷う方もいらっしゃると思います。
この記事では、さいたま市周辺で相続不動産や空き家の売却を考えている方に向けて、擁壁のある土地で押さえておきたいポイントを整理します。
擁壁とは?高低差がある土地の見方
擁壁(ようへき)とは、土地の土砂が崩れることを防ぐために設けられる壁です。コンクリート製や石積みなどがあり、道路と敷地、隣り合う敷地の間に高低差がある場所で見られます。
国土交通省は、擁壁が構造的に不安定になっていたり、老朽化で機能が低下していたりすると、宅地・建物や隣地に影響を及ぼすことがあると説明しています。古いという理由だけで危険と断定するのではなく、構造や状態を確認する必要があります。
自分の敷地を支える擁壁だけでなく、隣の高い土地を支える擁壁が自宅のそばにあるケースもあります。まずは、どの土地を支えている壁なのか、境界とどのような位置関係にあるのかを整理しましょう。
売却前に確認したい5つのポイント
1.擁壁の状態と、過去からの変化
ひび割れ、傾き、外側への膨らみ、排水の状況などは、専門家へ相談する際の確認材料です。以前の写真があれば、いつからどのような変化があったかも伝えられます。
ただし、ひび割れの有無だけで安全・危険を判定することはできません。国土交通省のチェックシートも、おおまかな危険度を確認するための資料です。写真や所有者による目視確認は、専門家による健全度判定の代わりにはなりません。
状態の悪化が疑われる場合は、撮影のために擁壁へ近づかず、自治体や擁壁に詳しい専門家へ相談してください。
参考:国土交通省「我が家の擁壁チェックシート(案)」/さいたま市「盛土等の安全を守るために」(PDF)
2.擁壁の所有・管理と、土地の境界
「高い土地の側の壁だから、自分のもの」「隣地との間にあるから、費用は半分ずつ」と見た目だけで決めないことが大切です。境界に関する資料、購入時の契約書、過去の取り決めなどを確認し、所有・管理の関係を整理します。
資料だけで判断できない場合は、必要に応じて土地家屋調査士や法律の専門家などへの確認も検討します。所有関係と、具体的な補修費用を誰が負担するかは、分けて確認しましょう。
3.築造時の図面・許可や検査に関する資料
擁壁の図面、造成工事の資料、当時の許可・確認・検査に関する書類があれば、確認の手がかりになります。ただし、必要とされた手続は築造時期や工事の内容によって異なります。
書類が見つからないことだけで違法と断定することも、書類があることだけで現在の安全性まで保証されると考えることも避けましょう。資料と現況を照らし合わせることが重要です。
4.建て替えや土地利用の条件
現在の建物を使う場合と、解体して新築する場合では、検討すべき内容が変わります。擁壁と建物の位置関係、計画する工事、土地の形状などについて、建築士や自治体への確認が必要です。
道路条件も別に確認します。擁壁の問題が整理できても、接道条件などによって希望する建て替えができるとは限りません。
5.工事が必要な場合の範囲と施工条件
補修・補強・造り直しのどれを検討するかは、健全度や現地の条件によって変わります。工事の見通しを立てる際は、擁壁の高さや長さだけでなく、重機の進入経路、隣地との位置関係、既存建物への影響なども確認対象になります。
参考:国土交通省「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」
擁壁があると建て替えできない?
「擁壁がある=再建築不可」ではありません。一方で、今ある家が建っているから、同じ位置・規模でそのまま建て替えられるとも限りません。現在のルールと、新しい建築計画に合わせた確認が必要です。
さいたま市では盛土規制法にも注意
さいたま市は、2025年5月26日に市内全域を「宅地造成等工事規制区域」に指定しています。一定規模を超える盛土・切土・一時的な土石の堆積が規制対象となります。
また、市は建築確認申請時に、設計者が許可対象となる宅地造成等の有無を確認し、所定のチェックリストを添付するよう案内しています。
区域指定だけで個々の土地が危険と判定されたわけではありません。売買そのものと、造成・建築工事に必要な手続を混同せず、計画内容に応じて確認しましょう。
擁壁の改修、土の掘削、駐車場の新設などを考えている場合も、先に工事を発注せず、適用される制度や必要な手続を確認してください。自治体や個別状況により扱いは異なります。
出典:さいたま市「盛土規制法の施行に伴う本市の対応」、「盛土規制法の運用開始に伴う建築確認申請における留意点について」
売却前に造り直すべき?工事費の考え方
「古い擁壁は、売主がすべて造り直さなければ売れない」と一律に考える必要はありません。安全上必要な対応を確認したうえで、工事を行ってから売却する方法と、調査結果や必要な対応を買主に説明して売却条件を調整する方法を比較します。
国土交通省のマニュアルも、健全度や現地状況等に応じて補修・再構築・補強などの対策を検討する考え方を示しています。擁壁の状態を確認する前に、造り直しや費用を決めつけないことが大切です。
本記事では一律の工事費相場や値下がり率を示していません。現地条件が不明な段階の金額を、売却判断の前提にすることは避けたいからです。工事が必要と分かった場合に、対象範囲と施工条件をそろえて見積もりを確認しましょう。
なお、売却を予定しているからといって、安全上必要な対応を先送りできるわけではありません。調査結果に応じた対策と、売却方法の検討を並行して進めます。
土地の条件に合わせた売却方法
以下は検討する選択肢です。実際に利用できる方法や買主が見つかるかどうかは、調査結果と個別の条件によります。
既存の家を利用する前提で売却を検討する
家を残して利用したい買主に向けて検討する方法です。擁壁・建物の状態、必要な修繕、将来の利用上の確認事項を整理して伝えます。「現況で売る」ことと「状態を説明しなくてよい」ことは別です。
必要な対策を整理して、土地として売却を検討する
新築を考える買主に向けて、建築計画上の確認事項や擁壁への対応を整理する方法です。建物の解体を先に進めるのではなく、擁壁への影響や工事の順序も含めて検討します。
不動産会社による買取や、隣接所有者への売却を検討する
一般の買主への売却に加えて比較する選択肢です。買取なら必ず対応できる、隣接所有者なら購入する、といった保証はありません。価格だけでなく、調査や工事の負担、引渡し条件なども合わせて判断します。
相談時にあると役立つ資料
- 物件の所在地と、相続・所有の状況が分かる情報
- 土地・建物の登記事項証明書、公図、測量図など
- 擁壁・造成工事の図面や許可・検査に関する資料
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書、隣地との取り決め
- 過去の補修記録や見積書、安全な場所から撮影した写真
すべての資料がそろっていなくても、ご相談いただけます。「何が分かっていて、何が分からないか」を整理するところから始めましょう。相続したままで状況を把握できていない方も、まずは分かる範囲をお知らせください。
よくある質問
Q.ひび割れがなければ、そのまま売っても大丈夫ですか?
ひび割れが見えないことだけで、安全性や必要な対応は判断できません。資料・構造・現地の状態などを確認し、買主へ伝える内容を整理します。
Q.隣の土地の擁壁なら、確認しなくてもよいですか?
所有関係だけでなく、自分の土地や建物との位置関係を確認しましょう。国土交通省も、擁壁の状態によっては隣地へ影響が及ぶことを説明しています。補修や管理の負担を、見た目だけで決めつけないことも大切です。
Q.擁壁の書類が何もありません。相談できますか?
はい。まずは所在地や分かる範囲の状況をお知らせください。資料がないことと、売却できないことは同じではありません。確認が必要な事項から整理します。
弊社・ピース株式会社に相談できること

ピース株式会社では、埼玉県を中心に全国の難あり・ワケあり不動産について、お客様に寄り添い最後まで諦めない姿勢でお手伝いしています。
不動産全般の無料査定
道路条件や接道状況の整理を目的とした、役所・住宅ローン担保の無料調査
(一部、遠方地に関しては交通費をご相談する場合があります)
私道共有者・通路権利者・隣地関係者・その他権利者との無料交渉
投資家、隣地、一般買主など多方面にわたる売却先の紹介
再建築不可や未接道の物件は、最初の見立てを誤ると、売却価格や売却期間に大きく影響します。一方で、状況を丁寧に整理することで、高値で売却できる可能性があります。
擁壁や高低差のある不動産についても、現地や資料の確認、道路条件・行政確認事項の整理、売却先の検討からご相談を承ります。擁壁の構造上の安全性を判断するための専門調査や設計・工事は、必要に応じて別途検討する事項です。上記の無料相談・査定と同じ範囲とは限りません。
「古い擁壁があるけれど、何から始めればよい?」
所在地と、分かる範囲の状況からご相談ください。
まとめ
擁壁のある土地の売却では、「売れるかどうか」「安全性はどうか」「工事が必要か」を一度に決めつけず、分けて確認することが大切です。
状態や所有・管理の関係、建て替え条件を整理すれば、比較すべき売却方法も見えてきます。さいたま市周辺で相続した実家や空き家の売却にお悩みの方は、ピース株式会社へご相談ください。
本記事は2026年10月13日に確認した公的資料に基づく一般的な解説です。個別の安全性、建築・工事の可否、必要な手続は、物件所在地の自治体や専門家への確認が必要です。

